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新しい肺炎球菌ワクチンについて – キャップバックス

肺炎の原因で最も多いバクテリアは肺炎球菌です。予防にはワクチンが重要ですが、近年新しい肺炎球菌ワクチンが開発されてきています。


行政の公費で定期接種の対象だったニューモバックスは、もう初年度のみの補助で、あとは自費となっていますが、やはり年を取るにつれてリスクはありますので5年おきにニューモバックスの接種はできれはしたほうが良いと思われます。それに対してキャップバックスというあたらしいワクチンは1回の接種で長く効果が続くことや、とくに近年流行っているタイプに有効なので、その有効性も期待されます。

ニューモバックスの莢膜型という種類に対して、キャップバックスの結合型という種類のほうが効果が長持ちします。ニューモバックスが23価つまり23種類のウイルスのタイプに効果があるのに対して、キャップバックスは21価ではあります。とはいえ、ウイルスのタイプにも流行りすたりがありそれを反映した組み合わせになっていそうなので、新しいキャップバックスのほうがひどく劣ることはなさそうです。

最近の日本人の死因は、多い順に、腫瘍、心疾患、老衰、脳血管系、ときてその次の5位が肺炎(4.8%)です。これには誤嚥性肺炎を含めていないので、肺炎ということでまとめるともうすこし多いところになります。COPDのような肺疾患が背景にあるとより重症化しやすいので注意が必要です。侵襲性肺炎球菌感染症になるとより予後不良で、22%が死亡してしまいます。ワクチンを打つことで肺炎を予防したいところです。

大きな流れでいうと過去には肺炎球菌ワクチンの導入によって、血清型分布の変化がおきたことが知られています。薬剤耐性率が高くて困ることがあると報告のある、血清型15Aに対してもキャップバックスは有効のようです。

現時点では、自費のワクチンです。今後でいうとまだはっきりしないものの、行政がかかわるなら2026年以降になるかと推定されています。他のワクチン接種後でいうと、ニューモバックスからは打って1年経てば打てるともいわれています。アメリカでは、接種開始年齢を65→50歳に引き下げたともいわれます。日本の今後の動向も引き続き注視していく必要がありそうです。

参考

Paul Scott et al. Clin Infect Dis. 2024.

Zinan Yi et al. Vaccine. 2025.