ウゴービ
肥満症治療 週一回の注射製剤を用いてサポート
〜 健康的な未来へ 〜

肥満症の健康リスクと治療の重要性
肥満は、単に体型の問題として捉えられがちですが、実際には高血圧、脂質異常症、2型糖尿病といった様々な健康障害を引き起こす「肥満症」という病気になりえます。日本肥満学会や日本糖尿病学会のガイドラインでは、BMIが25以上を肥満と判定し、その中でも医学的に減量を必要とする状態を「肥満症」といいます 。肥満症を治療することは、これらの合併する健康障害の改善につながり、非常に重要であるとされています 。
※BMI(Body Mass Index)は、体重(kg) ÷ {身長(m) × 身長(m)} で算出される肥満度を表す国際的な指標です。

当院の治療方針とウゴービのご紹介
肥満症治療の基本は、減量です。食事療法、運動療法、そして行動療法といった生活習慣の改善ですが減量が難しい方のために、当院では、肥満症治療薬「ウゴービ」を用いた治療を導入いたしました。肥満症診療ガイドラインでは、食事・運動・行動療法を3~6か月間十分に行っても、現体重の3%以上の有効な減量が得られない場合や、合併症の重篤性から急速な減量が必要な場合に、薬物療法の併用を考慮するとされています 。ウゴービは、このような状況において、食欲を自然に抑え、体重減少をサポートする新しい選択肢として期待されています。
ウゴービ治療をご検討いただきたい方
ウゴービ治療は、全ての方に適用されるわけではありません。医学的な基準に基づき、以下のような条件に該当される方に、ウゴービ治療をご検討いただいております。
- 食事や運動療法を続けているものの、なかなか目標体重に到達できない方。
- 肥満が原因で、健康上の不安を抱えている方、または将来的なリスクを予防・改善したい方。
- 特に、以下のような医学的な条件に該当される方に、ウゴービ治療が適応となります。
適用条件(いずれかを満たす方) | 該当する健康障害の種類 |
BMI 35 kg/m2以上 | 高血圧、脂質異常症、2型糖尿病のいずれか1つ以上の診断を受けている方 |
BMI 27 kg/m2以上 | 肥満に関連する健康障害を2つ以上お持ちの方 |
ここでいう肥満に関連する健康障害には、以下のようなものが含まれます 。
- 耐糖能障害(2型糖尿病、耐糖能異常など)
- 脂質異常症
- 高血圧
- 高尿酸血症・痛風
- 冠動脈疾患
- 脳梗塞・一過性脳虚血発作
- 非アルコール性脂肪性肝疾患
- 月経異常・女性不妊
- 閉塞性睡眠時無呼吸症候群・肥満低換気症候群
- 運動器疾患(変形性関節症:膝関節・股関節・手指関節・変形性脊椎症など)
- 肥満関連腎臓病
これらの条件は、ウゴービが医学的な肥満症治療薬として承認されている範囲を示しており、美容や体重減少のみを目的とした処方は、有効性や安全性が確立されていないため、当院では行っておりません。
ウゴービとは?肥満症治療の新しい選択肢
GLP-1の働きとウゴービの作用機序
GLP-1は、私たちが食事を摂ると小腸から分泌されるホルモンです。このGLP-1は、すい臓に働きかけて血糖値を下げるインスリンの分泌を促したり、胃の動きを緩やかにして満腹感を高めたりする役割があります。
ウゴービは、このGLP-1の働きを補う「GLP-1受容体作動薬」というお薬です。脳の食欲を調節する部分に作用することで、食欲を自然に抑え、食事量を減らすことにつながり、体重減少効果が期待できます 。また、GLP-1受容体作動薬は、空腹時には作用せず、食事をとって血糖値が高くなったときだけインスリン分泌を促すため、低血糖を起こしにくいという特徴もあります 。この特性により、血糖値の急激な変動を抑えながら、体重管理をサポートすることが可能になります。
当院が自由診療(自費診療)で提供する理由
ウゴービは、2023年3月に日本で肥満症治療薬として承認され、保険診療での処方も可能になりました。しかし、この保険診療での処方には、非常に厳しい条件が設けられています。具体的には日本糖尿病学会、日本内分泌学会、日本循環器学会などの専門医が常勤し、かつ管理栄養士による栄養指導が必須であることに加え、「教育研修施設」として認定されている医療機関でなければ処方できません。
全国的に見ても、この「教育研修施設」はごくわずかで、ほとんどが大学病院や総合病院に限られているのが現状です。この厳しい施設要件は、ウゴービ治療へのアクセスに大きな格差を生み出しています。多くの方が、身近なクリニックでこの治療を受ける機会を失っているのです。
具体的には、以下の「施設条件」をすべて満たす必要があります。
保険診療の施設条件
- ① 標榜科目が内科、糖尿病内科、代謝内科、循環器内科、内分泌内科であること。
- ② 糖尿病、循環器、内分泌学会の専門医が在籍していること 。
- ③ 「教育研修施設」として認定されていること(県内では大学病院などがこれに当たります)
当院では、残念ながらこの「教育研修施設」という条件は満たしておりません。しかし当院には糖尿病専門医が在籍しており、管理栄養士による栄養指導も可能です。皆さまに安心して治療を受けていただける環境を整えております 。
そしてこのような現状を踏まえ、当院では、肥満症でお困りの方がウゴービ治療を受けられる機会を広げるため、自由診療(自費診療)として提供することにいたしました。これにより、大病院への通院が難しい方や、よりきめ細やかなサポートを求める方が、地域で安心して治療を受けられる選択肢を提供したいと考えております。当院は国内販売代理店(医薬品卸)を通じて正規の医薬品を購入しており、安心して治療を受けていただけます。
ウゴービ治療で期待できる効果
ウゴービがもたらす変化
ウゴービの治療により、GLP-1の働きが補われることで食欲が自然に抑制され、無理なく食事量をコントロールできるようになります。その結果、以下のような効果が期待できます。
- 体重減少
- 内臓脂肪の減少
- 腹囲の減少
これらの変化は、肥満に伴う様々な健康障害の改善に繋がり、より健康的な生活を送るための基盤を築きます。
臨床試験で示された確かな効果
ウゴービの有効性は、厳密な臨床試験によって確認されています。日本人および韓国人の肥満症患者さんを対象としたウゴービ皮下注射の第III相臨床試験(NN9536-4382)では、食事・運動療法に加えてウゴービを週1回68週間皮下注射した結果、平均で13%の体重減少効果が認められています。
さらに、この試験では、8割以上の患者さんで5%以上の体重減少効果が確認されています。これは、日本肥満学会や日本糖尿病学会のガイドラインで推奨されている肥満症の治療目標と比較しても、非常に優れた結果です。ガイドラインでは、肥満症の治療目標として現体重の3%減量が推奨されており、高度肥満症では5~10%の減量が目標とされています 。ウゴービの臨床データは、これらの医学的な目標を大きく上回る効果を示しており、多くの方にとって、減量という目標達成に向けた強力なサポートとなることが期待されます。
項目 | 詳細 |
対象患者 | 日本人および韓国人の肥満症患者 |
試験期間 | 68週間(約1年4ヶ月) |
投与方法 | 週1回皮下注射 |
平均体重減少率 | 13% |
5%以上体重減少を達成した患者の割合 | 8割以上 |
医学的目標との比較 | 日本肥満学会/糖尿病学会の体重減少目標(3%以上、高度肥満で5-10%)を大きく上回る効果 |
ウゴービ2.4mg投与による体重変化率の推移
約100kgの人は15kgの減量になります。これまで、これほどの体重減少効果のある薬はなく、非常に期待できる薬です。

ウゴービの具体的な使い方と治療の流れ
ウゴービの具体的な使用方法
ウゴービは、ご自宅で週に1回、ご自身で皮下注射を行う注射剤です。ペン型の注入器で、毎週決まった曜日に、食事の時間に関係なく注射します。使い方もシンプルで、初めての方でも安心してご使用いただけるよう、医療スタッフが丁寧に指導いたします。
投与量は、0.25mgから始まり、0.5mg、1.0mg、1.7mg、2.4mgの5段階があり、通常は4週間の間隔で徐々に増量していきます。これは、お体が薬に慣れるための大切なステップです。現時点での最大投与期間は68週間(約1年4ヶ月)とされています 。処方されたウゴービは、ご帰宅後、速やかに冷蔵庫(2~8℃)で保管してください。使用後のペンは、医療スタッフの指示に従って適切に廃棄をお願いいたします。
注射を忘れてしまった場合の対処法
- 次の投与予定日まで2日(48時間)以上ある場合は、気づいた時点で直ちに1回分を投与し、その後はあらかじめ決めた曜日に投与を継続します。
- 次の投与予定日まで2日(48時間)未満の場合は、忘れた分は投与せず、次の予定日に1回分を注射してください。
当院でのウゴービ治療開始プロセス
- ① 初診・診察: まずは、医師による診察と問診を行います。現在の健康状態や、これまでの減量への取り組みについてききます。
- ② 検査: ウゴービ治療の適用条件を満たしているか、血液検査や尿検査などで確認します。これにより、健康状態を総合的に評価し、ウゴービ治療が最適かどうかを判断します。
- ③ 自己注射指導: 治療が決定したら、看護師が自己注射の方法や保管方法、副作用について、分かりやすくご説明し、実際に練習していただきます。ご自宅で安全かつ確実に注射できるよう指導します。
- ④ 治療開始後のサポート: 治療開始後も、定期的な診察で効果や副作用の有無を確認し、必要に応じて投与量の調整や生活習慣に関するアドバイスを行います。

知っておきたいウゴービの主な副作用
主な副作用について
ウゴービの主な副作用は、消化器症状が中心です。吐き気、下痢、便秘、消化不良、腹痛などが挙げられます。これらの症状は、治療開始時や増量時に現れやすく、体が薬に慣れるにつれて徐々に軽減していくことが多いですが、症状が続く場合や気になる場合はご相談ください。
稀に、以下のような重篤な副作用が報告されています。
- 低血糖: 脱力感、倦怠感、強い空腹感、冷や汗、動悸、ふるえ、頭痛、めまいなど。GLP-1受容体作動薬であるウゴービは、空腹時には作用せず、食事をとって血糖値が高くなったときだけ働くため、単独では低血糖を起こしにくいとされています 。しかし、他の糖尿病治療薬(スルホニル尿素薬など)と併用している場合は、インスリン分泌が過剰になり低血糖を起こしやすくなる可能性があるため、注意が必要です 。
- 急性膵炎: 嘔吐、激しい上腹部の痛み、背中の痛み、お腹のはりなど。
- 胆のう炎、胆管炎: 黄疸(白目が黄色くなる)、腹痛。
国の医薬品副作用被害救済制度について:
ウゴービは国内販売代理店経由で正規に購入していますが、自由診療での処方となるため、万が一重篤な副作用が出た場合でも、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。この点をご理解いただいた上で、治療をご検討ください。当院では、安全を最優先に考え、副作用の早期発見と適切な対応に努めてまいります。
料金について
自由診療(自費診療)の費用
ウゴービ治療は自由診療となるため、保険診療に比べて費用のご負担が高くなります。当院では、国内販売代理店(医薬品卸)を通じて正規のウゴービを仕入れており、安心して治療を受けていただけます。
薬剤料金項目 | 料金(税込) | |
---|---|---|
0.25mg | SD2本(2週間分) | 7,500円 |
MD1本(4週間分) | 14,000円 | |
0.5mg | SD2本(2週間分) | 12,000円 |
MD1本(4週間分) | 21,000円 | |
1.0mg | SD2本(2週間分) | 18,000円 |
MD1本(4週間分) | 31,500円 | |
1.7mg | SD2本(2週間分) | 22,000円 |
MD1本(4週間分) | 43,500円 | |
2.4mg | SD2本(2週間分) | 29,000円 |
MD1本(4週間分) | 57,500円 |
※SD(SingleDose):1本で1回使い切りの注射 MD(Multiple Dose):1本で4回分入っている注射
◎その他にかかる費用
初診料:2200円 再診料:1100円
血液検査:5500円(当院で血液検査を定期的にされている方は必要ありません。)
美容やダイエットのみを目的とした処方について
当院では、BMI 27 kg/m2未満の方や、医学的な適応がない方への美容やダイエットのみを目的としたウゴービの処方は行っておりません。これは、ウゴービが医学的な肥満症治療薬であり、その有効性・安全性が確立されているのは、特定の医学的基準を満たす方に限られるためです。GLP-1受容体作動薬の不適切な使用は、長期的には健康を害する多くのリスクを背負う可能性があると警告されています 。当院は、利用される方の安全と長期的な健康を最優先し、医学的・倫理的な判断に基づいて治療を提供しております。
以下の方は治療をお見送りさせていただいております
- ① BMI が20未満の方(使用後にもBMI20未満となれば中止させていただきます)
- ② 20歳未満、70歳以上の方
- ③ 他院で糖尿病の治療中である方
- ④ 1型糖尿病の方
- ⑤ 拒食症などの精神疾患がある方
- ⑥ 膵炎や胆石の既往がある方、重度の心臓、腎、肝機能に障害がある方
- ⑦ 抗がん剤治療中や他に体重を落とすことで基礎疾患の悪化が想定されるような方。
- ⑧ 妊娠中、授乳中の方
当院の肥満症治療へのこだわり
薬物療法と生活習慣改善の組み合わせ
肥満症治療の基本は、食事療法や運動療法、そして行動療法といった生活習慣の改善です。薬物療法は、これらの生活習慣改善の努力をサポートし、より効果的な減量を促すための手段です。
当院では、薬物療法だけに頼るのではなく、皆様お一人おひとりの生活習慣や体質、ライフスタイルに合わせた食事や運動のアドバイスを行い、サポートします。
一人ひとりに合わせた治療プラン
肥満症の治療は、決して簡単な道のりではありません。当院では、「こうなりたい」という思いに耳を傾け、無理なく継続できる治療計画を一緒に考えていくことを大切にしています 。
まずはお気軽にご相談ください